僕の非モテキを君に捧ぐ②
いつもナンパ鉄道999をご利用頂きまして誠にありがとうございます。
現在この列車は、惑星メーテルを目指して進行中でございます。
さて、前回の話では童貞だった俺が、タイプの女の子に声をかけて連絡先を交換してアポったところまで話した。
話を続けようじゃないか。
女の子に声をかけてナンパしたことはそれまでに何度かあったが、実際にアポを取り付けて会うところまで行くのは初めての経験だった。
もう顔を覚えていなかったが、確か可愛かったあの子が本当に来るのだろうか。
俺は美人局に騙されているんじゃないか、会ったら黒いスーツのおじさんたちに囲まれてどこかへ連れて行かれるんじゃないか。そう心配を覚えた。
予定通りに約束の5分前に着く。
まだ彼女は来ていない。
「着きました」
とLINEを送る。
「後五分くらいで着きます」
と返事が来る。
どうやら本当に来るらしい。
緊張と期待がいっぱいになる。
そろそろ五分経ったくらいか。
顔を上げて周りを見渡す。
来た。(うわ、めっちゃ可愛い)
「こんにちは」
「こんにちは」
夜なのに緊張して変な挨拶をしてしまった。
それから今となっては別の女の子たちをどれだけエスコートしたか覚えていないいつもの店へと案内する。
あの頃は、どこらへんに店があったかも曖昧で、少し立ち止まりながら、彼女と会話しながら店へと向かった。
カウンターの方がいいのか、テーブルの方がいいのか。
どっちが正しいのか俺は知らなかったが、その時は店の予約をする際に「カウンターでお願いします」と言うこともなかったので、案内されたのはテーブルの席だった。
席に座る。
相手の顔を見る。(可愛すぎるぞ、これは)
「まずは飲み物から頼みましょうか」
お互いビールを頼んでからメニューを見る。
共通の話題、共通の話題。
何を話しても彼女とは話があった。
そして何を話しても彼女は笑ってくれた。
あまりお酒が強くない俺は、彼女のペースに合わせて飲むとすぐに顔が赤くなる。
目を合わせ続ける。
向こうも目を合わせてくる。
j「目そらさないんですね」
「ふふ、joy君も」
j「じゃあ、勝負しましょっか」
「いいですよ」
この勝負は俺が勝った。
ふと、トイレから帰ったタイミングで隣に座る。
これがテーブル・カウンターだ。(お店の席の構造に依存するので推奨しません)
手相の話から、どんな手の繋ぎ方が好きか聞く。
試してみる。
彼女の手に力が入っていない。
j「全然力入ってないですよ」
「だって付き合ってないですし」
そうか、この子はそう言う形式を大事にする子なんだなと知った。
この時の俺の脳内では
どうやってホテルまで持っていけばいいんだ???
てか、めっちゃ雰囲気がいい感じだな。
それくらいしか思ってなかったと思う。
アポでは常に主導権を握る。
それは誰かから聞いていたのか、実行した。
「じゃあ、そろそろ行きましょうか」
店を出る。
そうだ、あの日の俺は前日にもアポがあり、大学の授業で知り合った女の子に告白して、返事を待っている状態だった。(後日、お断りの連絡を頂きました)
とりあえず、彼女が欲しかったのだろう。
僕は
「会って二日目でこんなこと言うのかもおかしいかもしれませんが、好きになっちゃいいました、付き合ってください」
そう言った。
「私、仕事で忙しいかもしれないですけど、それでもいいですか」
そう聞いて来た。
「はい、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
こうして僕にやっと彼女ができた。
帰り道では手を繋いだ。
j「今夜一緒にいたいです」
「今日は帰りましょう」
童貞を早く卒業したかったが、ここを切り抜ける力はなかった。
行きには横並びで歩いた道を、帰りには手を繋いで帰る。
j「まさか、こんな風になるなんてへんな感じですね」
「ふふふ、そうですね」
この日の気持ちを日記にはこう綴っている。
僕はもう一度恋愛工学の原点に立ち返るべきだと思うのです。あの惨めだった僕と向き合う時が来たんじゃないかと。報われた一瞬にそう思います。小さな口をいっぱいに開けてキスしてくれる彼女を幸せにしたい。もっと面白い人間でいたい。正直ハイスペすぎてこっちが引くわ。
この日久しぶりにキスをした。
キスの仕方は、前の彼女に教わったから童貞でも大丈夫だった。
帰りは途中の駅まで一緒だったので、彼女が先に降りた。
「それじゃあ、また」
「はい、また」
そう言い合って彼女と別れた。
一人電車に残された俺は、何を思っていただろう、興奮する思いでツイートをしたに違いない。
その夜、帰ってから彼女にLINEをした。
次の日の朝、彼女からLINEが帰って来た。
それからアポ中に言っていた映画を観に行こうと言う話になった。
映画を観て、ご飯を食べる。
童貞は、セクトラをする機会を得た。
その日初めてラブホテルの下見をした。
ここをこう歩いて、こう入ってと。
頭の中ではやるしかない。
そう思っていたと思う。
お店を出る。
ポツポツと雨が降り出していた。
j「ちょっと雨宿りしましょう」
そう言って、彼女と手を繋いでホテルまで歩く。
いかにもラブホテルらしい建築物の前までやってくる。
入ってもいいものなのか。
ここまで来たら入るしかない。
手を繋いで玄関口を通る。
初めて見るラブホテルの光景に戸惑う。
そこは受付のおばさんがいないタイプのホテルだったのだ。
え、これどうしたらいいんだろう。
j「来たことあります?」
「いえ、そもそもあんまり来たことないので」
液晶に部屋の様子と値段が表示されている。
RESTとSTAYのボタンがある。
とりあえず、RESTのボタンを押した。
紙が出て来た。(この紙は今でも保存してます)
どうやらこの部屋に行けばいいらしい。
お金はいつ払うんだ。
エレベーターに乗って部屋を目指す。
指定した部屋の番号が赤く点滅している。
中に入る。
どうやら、先払いのようだ。
j「暑いですね、この中」
「そうですね」
会話がぎこちない。
j「映画、楽しかったですね」
「楽しかったですね」
j「なんか、緊張しますね」
「緊張しません?」
j「こういう時ってどうすればいいんですかね」
「なりゆきですよ」
j「いっつもシャワー浴びてるんですか?」
「浴びてないです」
「浴びます?浴びていいですよ」
j「別にどっちでもいいです」
童貞だとバレないように必死だったのを思い出す。
見つめあってキスをした。
<続く>↓
*このセクトラの部分は当時、ホテル前グダをされたらどうしようかと思っていたので録音がありました。ほとんどそのまま採用してます。はー懐かしい。
それでは皆様のよきセクトラライフを祈っております、joy boyでした。